インタビュー

《法学部オモシロ研究》「経済行政法」友岡 史仁 教授 携帯電話の会社が増えないのはナゼだろう?

電波は限りある貴重な資源

この世から携帯電話やスマホがなくなったらどうします?きっと、「そんなこと想像したくもない(怒)!」という人が多いでしょうね。それほど暮らしの中に溶けこみ、たくさんの楽しさと便利さを与えてくれる携帯電話ですが、私たちは普通大手3つの会社からしか選べません。「もっといろんな携帯があれば、うれしいのに」という声も聞こえてきそうですが、では、ナゼ携帯電話はそうならないのでしょう。それは、通信事業用の電波が限りある資源だからなのです。

やっぱり信頼できる会社に任せたい

電波は石油のように掘り尽くせばなくなるというものではありません。しかし、通信に使える周波数帯は限られています。そこにテレビ、ラジオ、携帯、航空機など、多くの電波が集中すれば混線の原因になるため利用者ごとに周波数帯を割り振る必要があります。安全性を確保するためのルールも不可欠です。それらを明文化したのが「電波法」「電気通信事業法」という2つの法律。この法律を守り、安定的に通信サービスを提供できる会社にしか電波は割り当てられないというわけです。

本当に規制はない方がいい?

新規参入が規制されていることに疑問を持つ人もいますが、もし多数の業者が参入したらどうなるでしょう。短期的には料金が下がるかもしれませんが、経営効率を上げるために利用者の少ない地域のサービスが悪くなったり、低価格のおかげで経営が傾いたりすれば、結局は利用者の不利益につながります。有限な資源を国民生活に役立てるには、自由な競争だけではなく、法律による規制が必要なこともあるのです。

これって実は「経済行政法」<br>企業の自由な競争と<br>国民の利益を守る方法は?

携帯電話やスマホなどの通信事業や放送・交通・運輸・郵便などのビジネス分野をネットワーク産業と言います。電波塔を建てたり線路を敷いたりと、設備投資に多大な費用が必要になるため、誰もが気軽に参入できる分野ではありません。また、公益性が強いため国からさまざまな制約も受けています。このような「公的規制」について、法律だけではなく、暮らしやすい社会を作るため、経済が発展していくためにどのような役割を果たしているかを考え、今後に向けての課題を抽出するのが「経済行政法」という学問領域です。本来、自由であるべき経済活動を規制する意味とは何か、国や国民のためになる規制緩和とはどうあるべきかを法的視点から探究することで、新たなビジネスチャンスが見つかるかもしれません。

プロフィール

友岡 史仁/FUMITO TOMOOKA
1997年、慶應義塾大学法学部卒業。その後、同大学院法学研究科などを経て、2013年より日本大学法学部教授。『公益事業と競争法―英国の電力・ガス事業分野を中心に―』(晃洋書房)『要説 経済行政法』(弘文堂)など著書、論文多数。

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